農地を売りたい、買いたい方へ


私の住む四国は農村が多く、先祖代々から受け継いだという田んぼや畑がたくさん存在します。でも、今の若い方は農業に従事しない方が多いので、相続で受け継いだ農地を持て余している人が多いのではないでしょうか?今回は、そんな持っていても仕方がない方の農地の活用をお伝えします。

■農地法

登記簿で地目が「田」「畑」となっている土地は勝手に埋め立てたり、売買ができません。それは農業を廃れさせまいとする農地法のせいなのです。農地は広いので、勝手に売買するとどんどん宅地化が進み、結果として農業をする人がいなくなり、食糧自給率にかかわってきます。よって、農地を廃止することは、厳しく法律で規制されています。では農地を取引するとは、どのような場合があるのでしょうか?

*ときどき、勝手に埋め立てて駐車場などにしている人がいますが、違法転用ですし、地目が農地扱いとなっているなら、やはり自由に売買できません。

①農地を農地として、売買・賃貸借する場合

農地法3条により、農業委員会の許可が必要です。買ったり借りたりする人が農業をやってないとダメです。

農業従事者はおおむね、年間150日を働くとか、一定の面積をすでに耕作している(例えば2反(600坪)以上)などの条件が付きます。

②農地を宅地などに転用して、自分で使用する場合

農地法4条により、農業委員会への届け出が必要です。

香川県にはすでにありませんが、市街化調整区域では農業委員会の許可となります。転用した後の使用計画や上水道、排水など、多くの書類の提出が必要なので、行政書士さんなどにお願いするほうがスムーズに進みます。

農地を宅地などに転用して、他人へ売る場合

農地法5条により、農業委員会への届け出が必要です。

これも4条と同じく市街化調整区域では農業委員会の許可となります。

面倒なのは、そこへ建物などを建設する場合、建築図面などと共に申請することになります。つまり、売主・買主が共同で申請せねばならないのです。

しかも市街地での転用では、大きな面積となると建物の建築を目的とした造成は開発行為となり、県知事の開発許可を必要としたりします。

①~③いずれにしても、農地というものは、自分で農業をやらない人には、自由の利かない土地と言えます。





■農地を売る値段

 場所によってさまざまですが、農地を農地として売る場合は、私の住む香川県では@数千円~数万円でしょう。が、宅地に転用して売る場合は、宅地相場の3割~4割で取引されるケースが多いようです。そこに農地転用申請費や宅地造成費として@3.5万円~4万円が上乗せされてきますが、買主にとっては、宅地よりはやや安く買えるのでメリットはあります。

最近は田んぼを造成して、宅地分譲する不動産屋も多いですね。

■農地を売りたいとき

まずは不動産屋に相談してみましょう。農地は安いので、小さい物件だと手数料も安くなり、おまけに手続きすることが多いので、仲介を面倒くさがる不動産屋さんもおられます。しかし、中には得意とする会社もありますし、建築も兼業しているところなどは、建築希望のお客さん情報を持っていたりします。

広い農地ですと、マンションデベロッパーや土地分譲業者、ハウスメーカー、アパート経営会社、工場・倉庫用地など選択肢も増えますので、値段は安く値切られますが早く売れると思います。

■宅地を農地にしたいとき

農業を減らさないようにしたい国の意向はありますが、宅地を農地とするのは難しいようです。固定資産税を減らしたいがために農地(畑)に転用したいという方はおられますが、実際に耕して現況から変えなければなりませんし、農業委員会に農地証明を出してもらわねばなりません。さらに登記簿の地目を変更する作業もあり、結構大変なのです。

宅地のまま、高い税金を払いつつ家庭菜園をしてる方もたくさんおられますね。

農地は評価額や固定資産税が安く、相続税対策には有効かもしれません。
しかし、建築ラッシュは東京オリンピックまでと言われており、その後は不動産市況は冷え込むと思いますし、空き家の増加や人口減少によって農地を宅地転用することに、もっと規制が入るかもしれません。

もし、農業を自分でやってない方は、今のうちに農地を手放すことも検討されたほうが良いかもしれませんね。