変わってきた最近の賃貸住宅事情


近年、賃貸住宅をめぐる環境が大きく変化しています。借りる人のニーズの変化や法律改正がその原因ですが、今回は部屋を借りようという方、または大家さんに向けて最新の賃貸市場をお伝えしておこうと思います。

まず、法律改正がどのように影響したかというと、

相続税改正(改悪?)
相続税を納めるべき人は、かつては全人口の4%ほどの人でした。しかし、昨年の相続税の法律改正で、全人口の6%の人が納めなくてはならなくなり、しかも最高税率が50%→55%に引き上げられました。
そして、この法律により、相続税対策で賃貸マンション・アパートを新築する方が急増しました。

*同じ資産額では、現金で持っておくよりも不動産に変えると5割~7割に圧縮されます。
つまり、その分だけ相続税が節税となるわけです。
このことで、新築マンションやアパートが増え、旧いところや不便なところは、部屋余り減少となっています。

 

分譲マンションの建設・購入ラッシュ
日銀のマイナス金利政策で、銀行は民間に貸し出すことでしか儲けが出なくなり、大手デベロッパーにもじゃぶじゃぶ貸し出ししました。また、一般人にも審査が甘くなり、普通では買えないような人でも分譲マンションや戸建てが買えるようになっています。
これにより、さらに賃貸マンション・アパートの部屋余りを加速させました。

 

民法改正による連帯保証人の保証範囲が狭まる
民法の一部が改正され、2020年から連帯保証人の保証上限額を明記することとなりました。つまり、家主からすれば、何年も滞納されても全額回収することが困難となり、悪質な借主は家賃滞納で居座り続けることになります。

この民法改正は一見、借主や連帯保証人に優しいように思えますが、実はどこも貸してもらえない人を増やす結果になっています。つまり、家主からすれば、少しでも不安がある人はお断りしていますし、家賃保証会社に委託することで、通常より厳しい審査基準となっています。つまり、過去に滞納歴のある方や税金の滞納者、トラブル常連者などは家賃保証会社のデータベースにすべて記録がありますから、たいへん入居しにくい状況となってくるでしょう。

また、最近では連帯保証人そのものを取らない契約も増えています。積水ハウスが施工するシャーメゾンシリーズも、連帯保証人は必要がない代わりに毎月の家賃総額の1%を家賃保証額として、別途お支払いいただいております。当然、審査基準は通常よりも厳しくなっていますので、本来連帯保証人がいれば審査がクリアできる入居者でも、本人だけの信用では入居不可となるケースもあります。

 

民法改正による敷金返還義務
かつては、敷金は滞納金の担保だけでなく、契約書に明記した原状回復費などをあとで引くために預かるものでした。しかし、この改正により、通常損耗については借主は原状回復義務を負わないものとなり、大きな損害を出していない場合は、敷金から差っ引くという行為はしにくいものとなります。
ただ、契約時に特約で具体的な金額を示している場合まで否定しているわけではないため、最近は契約書の特約などで、退去時にお支払いいただく金額を明示しています。
結局のところ、管理会社や家主からすれば、退去時に金額でもめることなく、堂々と敷金から相殺できるため、借主に必ずしも有利になったかどうかは分かりませんね。




次に借りたい人のニーズがどのように変わってきたかというと、

 

分譲マンション並みの設備を要望する
エアコン、ウォシュレットなどは高松では標準装備です。その他最近ではインターネット無料サービスなども要望されます。ちなみにうちのシャーメゾン坂出でもウィスタリア昭和町でも無料Wi-Fiを設置しました。
また、留守時でも荷物が受け取れる宅配ボックス、女性が住むマンションではオートロックや監視カメラなどが選択される大きな要素となってきています。

家主さんにとっては負担が大きくなりますが、これからの供給過剰を考えればどんどんライバルに差を付けられることになります。
確かに設備が不十分でも、安くすれば埋まりますが、安定して問題なく家賃を払ってくれる人が来る可能性は著しく低くなり、結局は滞納、自殺や傷害事件、ゴミ屋敷などの問題を抱えることになります。

 

立地を重視
近年、賃貸に限らず住居の立地がさらに重視されています。かつては、田舎の不便なところでも土地が安いということで、どんどん売れていましたが、最近は駅から徒歩圏、もしくは車で便利な立地でないと検討もされなくなっています。賃貸も同様に、田舎に行けば空き部屋が目立ちます。これは前述した物件余りによるものと高齢化社会になり、徒歩圏に買い物施設がないと困る人が増えたことも要因かと思います。相続税対策で田舎の田んぼとかに、アパート建築などを検討している方は、もう一度検討し直したほうがよいかもしれませんね。

 

敷金0、礼金0、家賃も最初の1ヶ月は無料 など
香川県ではまだ少ないですが、都会へ行けばゼロゼロ物件といって、礼敷金0の物件はいくらでもあります。それだけでは足りずに初月の家賃まで0にするというものもあります。しかし、やはり特別安くすれば、クセのある入居者がきてトラブルになったり、借り手側からすれば事故物件を掴まされる可能性もあります。

 

以上のことを踏まえて以下のようなアドバイスをしたいと思います。

 

<借りる方>
審査基準がどのようになっているかを確認すること。
特に連帯保証人無しとなると、本人にそれなりの収入がないと無理です。
敷金の返還条件についても重要事項説明書をよく読んで下さい。
また、あまりに安かったり、条件が良すぎるものは事故物件の可能性あり。

<大家さん>
相続税対策は必要ですが、将来空き部屋だらけになるような悪立地や低ランク物件を建てるのは避けましょう。立地が良くて新しい分譲マンションの区分所有権を取得し、それを賃貸するほうが、儲けは少ないですがリスクは小さいと思います。





不動産の事故物件とは

2017年秋、身も凍るような恐ろしい事件が発生しました。座間市の9人遺体遺棄事件です。お亡くなりになられた被害者の方は、最も大きな悲劇となったわけですが、また違った形で不運に見舞われた人がいます。それがアパートの大家さんです。

今回のような事件があった物件は事故物件とか心理的瑕疵物件と呼ばれ、大家さんにはかなりのダメージが出ます。まず間違いなくこのアパートの賃料は下がります。ここまで悲惨な事件では、もしかするとこの部屋はもう居住希望者がいないかもしれません。またこの部屋だけでなく、この部屋に隣接する部屋もかなり不人気になるでしょう。今いる住民は退去していくかもしれません。

壊して土地で売るにしても、このような因縁付きの土地は売れないか、かなり安く買いたたかれます。そのまま保有していても固定資産税を安くしてくれるわけもありません。

本当に大家さんにとっては、とばっちり以外の何物でもないのです。

 

■事故物件とは

さて、事故物件といわれるものにはどんなものがあるのでしょうか。

殺人、自殺などはもちろんそうですが、最近では孤独死で日数が経っていた時なども該当するときがあります。さらに火災があったり、部屋の中での事故死、屋上から飛び降り自殺があったり、殺人犯が住んでいたなどという場所も該当するでしょう。

これらは、その影響があると推測される期間は、宅建業者は重要事項として説明する義務があります。よく、事件から数ヶ月だけ平気な人をタダで住まわせて、そのあとは説明無しで契約するという業者や大家がいますが、あとで大問題になる可能性大ですね。あまり安すぎる物件は、ちゃんと理由を質問したほうがよいかもしれません。

ここで注意しなくてはいけないのが、いわゆる”幽霊”などの心霊現象です。

これらは心理的瑕疵物件の範疇には入るのでしょうが、事実かどうかが判断できず、風評被害にもつながるので、不動産屋はこの説明はまずしないと思ってください。

霊感が強い人は要注意です。

 

■事故物件を知る方法

最近よくテレビでも話題に上がっているのが、「大島てる事故物件サイト」です。

事故物件が物件名や写真まで載っており、他人事で見ている分にはおもしろいですが、大家さんにとっては半永久的に残るので、迷惑なサイトです。また、単なるウワサなども掲載しているため、風評被害を受けている物件もたくさんあると思います。

 

あと、SUUMOなどの物件情報サイトでもわざわざ「事故物件で探す」のページができています。理由はともあれ、とにかく安くて良い物件を探したいならここを利用するものいいですね。

【SUUMO事故物件で探す】

 

 

■事故物件への対処法

さて、このような事故物件が発生すれば、大家さんや管理会社はどのようにすればよいのでしょうか?全面リフォームをして、事件のあとを一切残さないというのはもちろんですが、その改修工事費や空き室になってからの金銭問題です。

多くは、犯罪者や自殺者の家族、連帯保証人に対し、損害賠償を請求する方法です。

しかし多くの場合、加害者家族は姿をくらましますし、自殺者も貧困が原因だったりするため、その家族も余裕がない生活をしていたりして、賠償金などとても払えないというケースが多いと思われます。

結局は泣き寝入りになるのですが、それでもその部屋を貸さねば大家が破産してしまいますから我慢して格安で募集をするしかないのです。東京など、人口が増え続けるエリアであれば借り手はいると思いますが、香川のように人口減が激しく、空き家が急増している地方では、一度事故物件になると再度入居者を入れるのは至難の業といわざるを得ません。

まずは、お祓いなどをきちんとしたうえで、事件が気にならない学生などに安く貸し、年月を重ねるしかないと思います。

 

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■大家さんが事故物件にならないために気を付けること


・一部の損害保険会社で、空室や原状回復期の家賃を保証してくれる保険も扱っているそうです。年間数万円の掛け金で、リフォーム代や家賃保証などで300万円くらいまで支給されるそうです。

・たいへん差別的な言い方になるかもしれませんが、悲惨な事件が起こるのは大抵、家賃が安い物件です。そこには貧困からの苦悩、金銭トラブル、崩壊した家庭、高齢者や病人の孤独死などが高確率で起こりやすい環境があります。ちなみに9人遺体遺棄で逮捕された白石容疑者のアパートは家賃19,000円だそうです。このアパートは以前にも孤独死があって家賃が安くなっていたたとのことなので、白石容疑者も安いアパートを探して入居したのでしょう。
つまり、可能であれば投資不動産を購入するときに、少しでも高い家賃が取れる物件を選ぶことです。家賃3万円が10室で30万の収入物件なら、家賃6万円が5室のほうが事故物件にはなりにくいということです。

・オートロックなどで入り口で不審者をシャットアウトする方法もありますが、他の入居者のあとについて堂々と入ってくる輩もいるので完ぺきではありません。
同様に共用部分での監視カメラもありますが、これも事件後の犯人特定には有効ですが、予防にはあまり効果がないかもしれません。

・安否確認システムを利用する。最近では、身に着けておくだけで、心臓が止まったりすると通報がいくというシステムがあります。また、一定時間部屋の中で動きが無いと通報がいくなど、ITを使用しての予防が可能になりつつあります。
しかし、これも家族がその費用を負担してくれたり、大家さんに設備投資の余裕があるときに限られます。

・L社やD社などサブリース会社の家賃保証を利用するという手もありますが、最近は契約内容に関係なく、利益が出なくなった物件の保証内容を平気で変更する会社もありますので、要注意かと思います。

 

事故物件は人間関係のひずみから起ると思います。大家と借家人、隣人どおしの連携で、これらの事件は未然に防げるかもしれません。みなさんが事故物件の被害者や加害者にならないよう少しでも気になることがあれば、管理会社や大家さんに連絡するようにしましょう。

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農地を売りたい、買いたい方へ


私の住む四国は農村が多く、先祖代々から受け継いだという田んぼや畑がたくさん存在します。でも、今の若い方は農業に従事しない方が多いので、相続で受け継いだ農地を持て余している人が多いのではないでしょうか?今回は、そんな持っていても仕方がない方の農地の活用をお伝えします。

■農地法

登記簿で地目が「田」「畑」となっている土地は勝手に埋め立てたり、売買ができません。それは農業を廃れさせまいとする農地法のせいなのです。農地は広いので、勝手に売買するとどんどん宅地化が進み、結果として農業をする人がいなくなり、食糧自給率にかかわってきます。よって、農地を廃止することは、厳しく法律で規制されています。では農地を取引するとは、どのような場合があるのでしょうか?

*ときどき、勝手に埋め立てて駐車場などにしている人がいますが、違法転用ですし、地目が農地扱いとなっているなら、やはり自由に売買できません。

 

①農地を農地として、売買・賃貸借する場合

農地法3条により、農業委員会の許可が必要です。買ったり借りたりする人が農業をやってないとダメです。

農業従事者はおおむね、年間150日を働くとか、一定の面積をすでに耕作している(例えば2反(600坪)以上)などの条件が付きます。

 

②農地を宅地などに転用して、自分で使用する場合

農地法4条により、農業委員会への届け出が必要です。

香川県にはすでにありませんが、市街化調整区域では農業委員会の許可となります。転用した後の使用計画や上水道、排水など、多くの書類の提出が必要なので、行政書士さんなどにお願いするほうがスムーズに進みます。

 

農地を宅地などに転用して、他人へ売る場合

農地法5条により、農業委員会への届け出が必要です。

これも4条と同じく市街化調整区域では農業委員会の許可となります。

面倒なのは、そこへ建物などを建設する場合、建築図面などと共に申請することになります。つまり、売主・買主が共同で申請せねばならないのです。

しかも市街地での転用では、大きな面積となると建物の建築を目的とした造成は開発行為となり、県知事の開発許可を必要としたりします。

 

①~③いずれにしても、農地というものは、自分で農業をやらない人には、自由の利かない土地と言えます。





■農地を売る値段

 場所によってさまざまですが、農地を農地として売る場合は、私の住む香川県では@数千円~数万円でしょう。が、宅地に転用して売る場合は、宅地相場の3割~4割で取引されるケースが多いようです。そこに農地転用申請費や宅地造成費として@3.5万円~4万円が上乗せされてきますが、買主にとっては、宅地よりはやや安く買えるのでメリットはあります。

最近は田んぼを造成して、宅地分譲する不動産屋も多いですね。

 

■農地を売りたいとき

まずは不動産屋に相談してみましょう。農地は安いので、小さい物件だと手数料も安くなり、おまけに手続きすることが多いので、仲介を面倒くさがる不動産屋さんもおられます。しかし、中には得意とする会社もありますし、建築も兼業しているところなどは、建築希望のお客さん情報を持っていたりします。

広い農地ですと、マンションデベロッパーや土地分譲業者、ハウスメーカー、アパート経営会社、工場・倉庫用地など選択肢も増えますので、値段は安く値切られますが早く売れると思います。

 

■宅地を農地にしたいとき

農業を減らさないようにしたい国の意向はありますが、宅地を農地とするのは難しいようです。固定資産税を減らしたいがために農地(畑)に転用したいという方はおられますが、実際に耕して現況から変えなければなりませんし、農業委員会に農地証明を出してもらわねばなりません。さらに登記簿の地目を変更する作業もあり、結構大変なのです。

宅地のまま、高い税金を払いつつ家庭菜園をしてる方もたくさんおられますね。

 

農地は評価額や固定資産税が安く、相続税対策には有効かもしれません。
しかし、建築ラッシュは東京オリンピックまでと言われており、その後は不動産市況は冷え込むと思いますし、空き家の増加や人口減少によって農地を宅地転用することに、もっと規制が入るかもしれません。

もし、農業を自分でやってない方は、今のうちに農地を手放すことも検討されたほうが良いかもしれませんね。