2017年秋、身も凍るような恐ろしい事件が発生しました。座間市の9人遺体遺棄事件です。お亡くなりになられた被害者の方は、最も大きな悲劇となったわけですが、また違った形で不運に見舞われた人がいます。それがアパートの大家さんです。

今回のような事件があった物件は事故物件とか心理的瑕疵物件と呼ばれ、大家さんにはかなりのダメージが出ます。まず間違いなくこのアパートの賃料は下がります。ここまで悲惨な事件では、もしかするとこの部屋はもう居住希望者がいないかもしれません。またこの部屋だけでなく、この部屋に隣接する部屋もかなり不人気になるでしょう。今いる住民は退去していくかもしれません。

壊して土地で売るにしても、このような因縁付きの土地は売れないか、かなり安く買いたたかれます。そのまま保有していても固定資産税を安くしてくれるわけもありません。

本当に大家さんにとっては、とばっちり以外の何物でもないのです。

■事故物件とは

さて、事故物件といわれるものにはどんなものがあるのでしょうか。

殺人、自殺などはもちろんそうですが、最近では孤独死で日数が経っていた時なども該当するときがあります。さらに火災があったり、部屋の中での事故死、屋上から飛び降り自殺があったり、殺人犯が住んでいたなどという場所も該当するでしょう。

これらは、その影響があると推測される期間は、宅建業者は重要事項として説明する義務があります。よく、事件から数ヶ月だけ平気な人をタダで住まわせて、そのあとは説明無しで契約するという業者や大家がいますが、あとで大問題になる可能性大ですね。あまり安すぎる物件は、ちゃんと理由を質問したほうがよいかもしれません。

ここで注意しなくてはいけないのが、いわゆる”幽霊”などの心霊現象です。

これらは心理的瑕疵物件の範疇には入るのでしょうが、事実かどうかが判断できず、風評被害にもつながるので、不動産屋はこの説明はまずしないと思ってください。

霊感が強い人は要注意です。

■事故物件を知る方法

最近よくテレビでも話題に上がっているのが、「大島てる事故物件サイト」です。

事故物件が物件名や写真まで載っており、他人事で見ている分にはおもしろいですが、大家さんにとっては半永久的に残るので、迷惑なサイトです。また、単なるウワサなども掲載しているため、風評被害を受けている物件もたくさんあると思います。

あと、SUUMOなどの物件情報サイトでもわざわざ「事故物件で探す」のページができています。理由はともあれ、とにかく安くて良い物件を探したいならここを利用するものいいですね。

【SUUMO事故物件で探す】

■事故物件への対処法

さて、このような事故物件が発生すれば、大家さんや管理会社はどのようにすればよいのでしょうか?全面リフォームをして、事件のあとを一切残さないというのはもちろんですが、その改修工事費や空き室になってからの金銭問題です。

多くは、犯罪者や自殺者の家族、連帯保証人に対し、損害賠償を請求する方法です。

しかし多くの場合、加害者家族は姿をくらましますし、自殺者も貧困が原因だったりするため、その家族も余裕がない生活をしていたりして、賠償金などとても払えないというケースが多いと思われます。

結局は泣き寝入りになるのですが、それでもその部屋を貸さねば大家が破産してしまいますから我慢して格安で募集をするしかないのです。東京など、人口が増え続けるエリアであれば借り手はいると思いますが、香川のように人口減が激しく、空き家が急増している地方では、一度事故物件になると再度入居者を入れるのは至難の業といわざるを得ません。

まずは、お祓いなどをきちんとしたうえで、事件が気にならない学生などに安く貸し、年月を重ねるしかないと思います。

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■大家さんが事故物件にならないために気を付けること


・一部の損害保険会社で、空室や原状回復期の家賃を保証してくれる保険も扱っているそうです。年間数万円の掛け金で、リフォーム代や家賃保証などで300万円くらいまで支給されるそうです。

・たいへん差別的な言い方になるかもしれませんが、悲惨な事件が起こるのは大抵、家賃が安い物件です。そこには貧困からの苦悩、金銭トラブル、崩壊した家庭、高齢者や病人の孤独死などが高確率で起こりやすい環境があります。ちなみに9人遺体遺棄で逮捕された白石容疑者のアパートは家賃19,000円だそうです。このアパートは以前にも孤独死があって家賃が安くなっていたたとのことなので、白石容疑者も安いアパートを探して入居したのでしょう。
つまり、可能であれば投資不動産を購入するときに、少しでも高い家賃が取れる物件を選ぶことです。家賃3万円が10室で30万の収入物件なら、家賃6万円が5室のほうが事故物件にはなりにくいということです。

・オートロックなどで入り口で不審者をシャットアウトする方法もありますが、他の入居者のあとについて堂々と入ってくる輩もいるので完ぺきではありません。
同様に共用部分での監視カメラもありますが、これも事件後の犯人特定には有効ですが、予防にはあまり効果がないかもしれません。

・安否確認システムを利用する。最近では、身に着けておくだけで、心臓が止まったりすると通報がいくというシステムがあります。また、一定時間部屋の中で動きが無いと通報がいくなど、ITを使用しての予防が可能になりつつあります。
しかし、これも家族がその費用を負担してくれたり、大家さんに設備投資の余裕があるときに限られます。

・L社やD社などサブリース会社の家賃保証を利用するという手もありますが、最近は契約内容に関係なく、利益が出なくなった物件の保証内容を平気で変更する会社もありますので、要注意かと思います。

事故物件は人間関係のひずみから起ると思います。大家と借家人、隣人どおしの連携で、これらの事件は未然に防げるかもしれません。みなさんが事故物件の被害者や加害者にならないよう少しでも気になることがあれば、管理会社や大家さんに連絡するようにしましょう。

注:2021年10月に国土交通省より、死の告知に関するガイドラインが発表され、自然死による孤独死、賃貸における告知不要の経過年数などが大幅緩和されました。

報道発表資料:「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました – 国土交通省 (mlit.go.jp)

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